212: タタリサマ 1/2 2015/03/13(金) 01:31:28 ID:q3xRHXaw
「破ァァァァッァァッ!!!」
寺生まれのTさんの手から光弾が放たれるっ!

「グギャアアアアアアアアア」
この世のものとも思えぬ異形のアヤカシが巨躯を捩りながら断末魔の叫びを上げる。

「ふんっ、一発では浄化しねぇか。これほどまでに成長するとは、いったいこいつはどれだけの魂を取り込んできやがったんだ!」
「ホントっすね!ここできっちり現世との線引きをしてもらいましょう」
「さすがに呪い屋のNの作り上げたアヤカシ。手間取ってしまいましたが引導を渡す時ですね」

「グォォォォォォォォオオオオオオオオオ」
異形のアヤカシの雄叫びが山鳴りとなって響き渡る!

寺生まれのTさんが頭に巻いたタオルを締め直す。
「よっしゃラストだっ! 逝くぜっ、Kよぉ!」

十字架を翳し、祭服をはためかせた教会生まれのKさんが呼応する。
「うむ、逝こう! 準備はいいかい、Jちゃん」

神社生まれで巫女のJちゃんは丹田の前で素早く九字を結ぶ。
「はいっ、もちろんです!行きましょう! T様! K様!」

Tさんから青白い光弾が射出する!
Kさんから白銀の波動が放射する!
Jちゃんから薄紫の衝撃が伸展する!

「「「破ァァァァァァァァッァァァァァッァァッ!!!!!! 」」」

三つの光の筋が異形のアヤカシに伸びていき……
そして一点に収束する!!!

「グオオオオオオオオオォォォォォォォォオオオオオオオオオ……」
アヤカシの最後の咆哮が轟く。

ブシャァッ
異形のアヤカシは口から大量のヘドロを撒き散らし……
そしてやがて小さな粒となって拡散していった……。

「ふぃ~、今回はなかなか強かったなぁ、Jちゃん……」
TさんがJちゃんを振り返る。
「もぉーーーー、最悪ですよーー、もろにヘドロかぶっちゃったすよーー」
Jちゃんが真っ白い巫女装束を真っ黒に染めて半ベソをかいている。
「まさかこんなに汚れを溜めていたとは……」
Kさんもカッコつけてはいるが、頭からきっちりベッタリいかれている。
「まぁまぁ。きっちり浄化できたんだからいいとしようぜ。
しっかし、それにしてもこの臭いはたまんねぇなぁ」
「そうっすよー。もうお風呂入りたーーい」
「引導を渡したからには長いは無用。
まもなく日も暮れます。山を降りましょう」
「そうだな」
「ひぃ~、足袋の中まで気持ち悪いっすぅ~」

無事今日も強大な悪霊を成仏させた一行は山を降りていくのだった。

213: タタリサマ 2/2 2015/03/13(金) 01:32:21 ID:q3xRHXaw
--


「あっ、T様!前方にお爺さんと少年が!」
見ると、山仕事が終わったであろう二人が一行の数十メートル前方を歩いている。
「おう、もうすぐ麓ってこった。
よっしゃ、山であったらみんな友達!ちょっと挨拶していこうや!」
「はぁ~、T。あなた今の自分の格好が分かってますか?」
「あ~、そっすねー。とても人様の前に出るような感じではないっすねー、臭いし」
「こんなヘドロだか体液だか魂の残りカスだかよく分かんないものがべったり付いたまま人前に顔を出すなど私の美意識が許しません!」
Tさんは心底面倒くさそうな顔をする。
「破ぁ~、わぁった、わかったよ。でもこのまま待ってるわけにもいかねぇからな。のんびり付いていこうや。
こんだけ距離がありゃいいだろ」
「そっすね」
「一刻も早く教会に戻りたいのは私とて同じ。そうしましょう」

ザッザッザッ。

三人は一定の距離を置いたまま山を降りて行く。


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「ねぇ爺ちゃん、なんか後ろから足音が聞こえないか?」

ザッザッザッ。

確かに。足音のようにも聞こえる。
しかしこんな時間にこの山に入る者などおらんはずじゃが……。

「!」
その時ハッと大昔に爺さんが話してくれたことを思い出した……。


『うちの爺さんが子供の頃、よく山での仕事を父親(俺の曾爺さん)に手伝わされたそうだが、仕事が遅くなって日暮れ時に山道を下っていると、後ろをついてくる足音のような奇妙な音が聞こえることがあったという。

そんな時父親は、必ず「後ろを振り返るな。あれはタタリサマだ。振り返ればひいて行かれるぞ。」と厳しい声で言った。

しかし、昔からの言い伝えだけで、父親も詳しい正体は知らないようだったという。

その足音は下駄を履いて飛び跳ねながら降りてくるような音だったと爺さんが言っていた。

麓の地蔵堂をこえる頃には、いつのまにか足音はしなくなったらしい』


あれは本当のことじゃったか!!
「坊主っ!振り返ってはイカンぞ!
あれはタタリサマだ!
振り返れば……ひいて行かれるぞ!!」
「う、うん!わかった!」


顔を見合わせるTさん、kさん、Jちゃん。
「おい、言われてるぞJちゃん。タタリサマだってよ」
「なに言ってるんですかT様。T様こそ……っていうかこの真っ黒な顔したK様が一番タタリサマっぽいっすよ!」
「Jちゃん失礼な!この中で最も妖怪に近いのはTに決っているではないか!」
「なにぃ、このメガネ陰険腐れ神父が!妖怪とはよく言ってくれたな!」
「ふん。人間生まれの今は限りなく妖怪じゃないですか、生臭坊主が!」

Tさんが指をポキポキと鳴らしながら薄ら笑いを浮かべる。
「ほぉ、Kさんよぉ、俺に成仏させて欲しいらしいなぁ」
Kさんも口角を上げて呼応する。
「今日の最後の仕事はあなたに引導を渡すことでしたか……いいでしょう、妖怪はここらで祓ってしまいましょう」
「もぉーーいい加減にしてくださいっす、二人ともーーー!」

「破ァァッ!!」
「アーメン!!」

二つの光が交錯する!!


「爺ちゃん、後ろでなんかとんでもない音が……」
「振り返ってはいかん、振り返ってはいかんぞ!坊主」

「破ァァッ!!」
「アーメン!!」
「コラーーーー」

「でも……爺ちゃん」
「いかんぞ、坊主!ほら、もうすぐ麓じゃ!」

爺ちゃんに急かされながら、やっぱり山ってなにが起こるかわからない、と思う幼い僕であった。

214: タタリサマ 2015/03/13(金) 01:33:39 ID:q3xRHXaw
あんまり原型を留めていないかもしれませんが、元ネタはこれです。
http://chikatomo.doorblog.jp/archives/43110435.html

215: 寺生まれの名無しさん 2015/03/13(金) 01:58:10 ID:RJ2v.iIg
ワロタww
二人ともどうでもいいことで喧嘩すんなwwww

216: ☆≡⊂(・∀・´)ハァァァッ!! 2015/03/13(金) 02:03:29 ID:HNS/c3ew
>>215
コミカルでとても好きだァ!
Kさんが聖職者なのに結構毒吐いてるのも笑えるw

漫画とかショートアニメとかになったらより一層映える予感…


出典: 【破ァッ!!】寺生まれのTさんスレ