28: しゃがみこむ妊婦1/2 2015/03/02(月) 18:25:08 ID:/sxxuDok
昼食をとり終えた頃、いい天気なので同僚と散歩にでも行こうと思い出た。 
歩きだそうとしたとき、10メートル先に妊婦がしゃがみこんでいるのが目にはいる。 
すぐに二人で駆けつけ、「大丈夫ですか?」と声をかけるが返事はこない。 
「どうしました?」
またも返事はない。 
さすがにまずいと思い、「救急車を呼びますね」と言い、携帯を取り出した。
そのとき妊婦が口を開いた。
「あのー、すいませんこの近くに交番はあり……」

「破ァッ!!」
「ぐあああああああああああああああ」
黙って成り行きを見ていた同僚が突然叫ぶ!
同時にうずくまっていた妊婦さんも悲痛の叫び声を上げる!

ひっくり返った妊婦さんを見ると、ゆったりとしたマタニティドレスから包丁が顔を覗かせている。
包丁?

29: しゃがみこむ妊婦2/2 2015/03/02(月) 18:25:42 ID:/sxxuDok
「危ないところだったな」
「同僚……お前、まさか寺生まれの……T……」

妊婦さんからは黒い靄が立ち上っていき、やがて拡散していった。

「おい、しっかりしろ」
同僚、もとい寺生まれのTさんは妊婦さんの横にしゃがむと優しく肩を抱く。

「う……、うぅん」
「だ、大丈夫ですか!?」
僕も慌てて妊婦さんに駆け寄る。

「はい……もう大丈夫です……」
妊婦さんの目からは涙が流れる。
「わ、私……どうしてあんな事したのか……」
「破っ破っ破」
寺生まれのTさんは声も高らかに笑う。
「気にすることはねぇ、奥さん。もう悪いもんはアンタには憑いてねぇよ」
「「憑いて!?」」
「あぁ、ありゃー生霊だな。妊婦ってなぁ幸せの象徴みてぇなもんだ。
歩いてるだけでも生霊を飛ばされちまうことも結構あるんだよ」
「生霊……」
「あぁ。でももう大丈夫だ。今頃呪詛は本人に帰っていってるぜ!もう立てるか?」
妊婦さんは
「そうですかありがとうございます」と言いながら立ち上がり、
続けざまに「それではまたどこかで」と言うと、妊婦は去っていった。

今思い出しても背筋が凍りつく。
もしあの時同僚の寺生まれのTさんがいなければ、どうなっていたのだろうか。

「まだ時間ありますね。今日は本当にいい天気だ。もうちょっと散歩しましょう」
そう言ってTさんは歩み始める。

寺生まれってすごい。改めて俺はそう思った。

30: 名無しさん 2015/03/02(月) 18:27:23 ID:/sxxuDok


>>しゃがみ込む妊婦(別バージョン)<http://chikatomo.doorblog.jp/archives/42846148.html>




出典: 【破ァッ!!】寺生まれのTさんスレ