出典: 赤い柿の話


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1: ◆fnkquv7jY2 2014/05/11(日)16:01:39 ID:zR34leFY4
俺がまだ消防だった頃。
よく遊びに行っていた爺ちゃんの家の庭には、赤い柿のなる木があった。その木は毎年秋になると、普通の柿よりもっと赤い柿を実らせた。
でも、爺ちゃんはその柿を食べさせてくれかった。毎年毎年、腐りかけの柿が、爺ちゃんの庭に落ちていた。

4: 名無しさん@おーぷん 2014/05/11(日)16:03:59 ID:EUXHxhkmH
肥料が良いんだな

5: ◆fnkquv7jY2 2014/05/11(日)16:05:56 ID:zR34leFY4
俺は柿が大好物だった。特に干し柿が。
真っ赤な柿を見ていると、どうしても食べたくなる衝動に駆られてしまう。でも、爺ちゃんは口癖のように
「食っちゃいかん。あれは悪いものだ」
と言っていた。
今でも気になるが、柿の木って世話をするものなのだろうか?
いつも爺ちゃんは柿の木の根本に、ジョウロで水をあげていた。たまに俺もその手伝いをしていた。

6: 名無しさん@おーぷん 2014/05/11(日)16:06:41 ID:yPvzu9SB8
怖い話ですか?

8: ◆fnkquv7jY2 2014/05/11(日)16:09:39 ID:zR34leFY4
>>6
いい思い出じゃない

いつものように爺ちゃんの家に遊びに来た俺は、庭に落ちているあの赤い柿を見つけた。よく見ると、それはまだ腐ってなくて、よく熟れている、美味しそうな柿だった。
俺は帰り際に爺ちゃんの目を盗んで、柿を自分の家に持ち帰った。

9: ◆fnkquv7jY2 2014/05/11(日)16:16:48 ID:zR34leFY4
爺ちゃんはダメだと言っていたが、当時10歳だった俺はその美味しそうな柿の誘惑に耐えられなかった。
干し柿を作ろとしたのだ。
親が干し柿をよく作り、その手伝いを毎回していたので、作り方は頭に入っていた。
皮を向き、お湯で煮て、その後窓辺に紐で吊るして2週間程乾燥させる。
たった1個だったが、まだかまだかと、毎日のように待っていた。

11: ◆fnkquv7jY2 2014/05/11(日)16:23:05 ID:zR34leFY4
親に見つからないよう、柿を隠蔽しながら2週間が経過した。
成功だった。立派な干し柿だ。そして仕事で親がいない昼間の内に、その柿を食べようとした。
手を洗い、柿を皿に乗せ、手を合わせていただきますと言った。
爺ちゃんの言葉が脳裏に蘇り、ゾクゾクとしたが、一口干し柿を食べた。
すると、真っ赤な血のような液体がどんどんどんどんどんどん柿から流れて来る。これはヤバイと思い、すぐに窓から柿を投げ捨てた。
しかし、一口食べてしまった。
気味が悪いなあ、と思いながら、ちゃぶ台を拭き、人生初の干し柿大作戦は終了した。

12: ◆fnkquv7jY2 2014/05/11(日)16:26:55 ID:zR34leFY4
その夜、とても怖い夢を見た。

真っ赤な柿がこれでもかってぐらい成ってる木の前に、俺は立っていた。しかし、爺ちゃんの家が無い。
振り向けばあるはずの、爺ちゃんの家が無いのだ。
真っ赤な柿はとても美味しそうで、手を伸ばせば届くところに実があった。
俺は少し躊躇いながらも、その柿に手を伸ばした、次の瞬間だった。

13: ◆fnkquv7jY2 2014/05/11(日)16:29:21 ID:zR34leFY4
俺は土から飛び出してきた真っ赤な腕に足を掴まれて、ズルズルと土の中へ引きずりこまれていった。助けて!と叫ぼうとしたが、声が出ない。
そのまま俺は、真っ赤な腕に引きずり込まれて行った。
柿の木の下へ。

14: 名無しさん@おーぷん 2014/05/11(日)16:29:54 ID:f2W4IIwiP
ここで彼の日記は止まっていた

16: ◆fnkquv7jY2 2014/05/11(日)16:31:02 ID:zR34leFY4
>>14
そういうの見ると思うけどさ、それって怖いシーンの日記書けなくね?

15: 名無しさん@おーぷん 2014/05/11(日)16:30:43 ID:zi1mjcX6d
怖いやないなか!!!!

17: ◆fnkquv7jY2 2014/05/11(日)16:33:42 ID:zR34leFY4
翌日、朝一番で爺ちゃんの家にすっ飛んで行った。そして爺ちゃんに泣きながら事の説明をした。
何が怖かったかって、足首に赤い手形の痕があったんだから。
爺ちゃんは「よしよし、怖かったな」とか、「あれだけ食っちゃいかんと言ったのに」とか言いながらも、俺の頭を撫でながら話を聞いてくれた。
爺ちゃんは本当に優しくて、とても頼りになる存在だった。

18: ◆fnkquv7jY2 2014/05/11(日)16:39:24 ID:zR34leFY4
一通り俺の話を聞いて、俺が落ち着くと、爺ちゃんは婆ちゃんと話をし始めた。
庭の柿の木を見る気にはなれなかった。俺はもう怖くて怖くて仕方なかった。
爺ちゃんと婆ちゃんの会話はこんな感じだった。

婆ちゃん「やっぱり切らなきゃあかんのかね?」
爺ちゃん「いや、あの木を切ったら、切った者が殺される。それに先祖代々受け継いで来たもんじゃ」

ガキの俺には何を言ってんのかあんまりわからなかった。

19: ◆fnkquv7jY2 2014/05/11(日)16:44:05 ID:zR34leFY4
母ちゃんと父ちゃんも来て、ずっと話をしていた。その間、俺は奥の部屋で婆ちゃんと遊んでいた。
婆ちゃんは、「また怖い事が起きたら、これを握って、助けてください観音様って言うんだよ」と、紫色の御守りをくれた。マジで嬉しかった。
昼過ぎには話が終わって、とりあえず俺は家に帰る事になった。柿の木は父ちゃんが、「見るな。歩け」と言ったので、見なかった。やっぱり怖かった。

20: ◆fnkquv7jY2 2014/05/11(日)16:48:41 ID:zR34leFY4
その後、1週間程夢遊病が続いたらしい。俺は知らないけど。
夜中にふら~っと起きて、外に行こうとするんだって。最初の夜は爺ちゃんの家の前まで来ていて、父ちゃんが止めてくれた。
その間、俺はずっとあの悪夢を見ていた。赤い手が俺を手招きして来るのだ。
眠るのが怖くて、寝不足になった。

21: 名無しさん@おーぷん 2014/05/11(日)16:50:14 ID:2gtsx0ixk
なかなかおもしろい
続けてくれ

23: ◆fnkquv7jY2 2014/05/11(日)16:56:15 ID:zR34leFY4
ちくしょう、このタイミングで嫁が柿ピー買ってきやがった。

24: 名無しさん@おーぷん 2014/05/11(日)16:57:02 ID:XCcZ5ZsIK
柿ピー報告はいいから続きはよ

25: ◆fnkquv7jY2 2014/05/11(日)17:01:47 ID:zR34leFY4
時は現在に戻る。
一昨日、あの柿の木が倒れたらしい。幹が腐って、もう寿命だったっぽい。
奇妙なのが、その柿の木の真下から、動物の骨が出てきたらしい。それが犬、猫、鳥と、いろいろあって、人骨も混じっていたという。
俺が考えるに、全部あの柿の木が引きずり込んだ動物じゃないのかな、と思う。
真っ赤な柿のなる木に魅せられた、哀れな動物達の。

26: ◆fnkquv7jY2 2014/05/11(日)17:02:15 ID:zR34leFY4
おしまい

27: ◆fnkquv7jY2 2014/05/11(日)17:04:22 ID:zR34leFY4
   *      *
  *   + 釣りです
     n ∧_∧ n
 + (ヨ(* ´∀`)E)
       Y   Y    *

28: ◆fnkquv7jY2 2014/05/11(日)18:22:35 ID:zR34leFY4
短い話だったけど、怖がってくれた人はありがとう。
クソスレ立ててごめんなさい。
それではお元気で。
アディオス!

29: 名無しさん@おーぷん 2014/05/11(日)18:24:21 ID:bUu2xfBUY
やっと来れたら終わってた
とりあえずおつ