sinbunn


今から7~8年前かな、ガキの頃の話。
その頃俺は、サバイバルゲームとかエアガンの撃ち合いとか、危ない遊びばかりしてた。


いつもみたいに5人で撃ち合いを終えて、陽も傾いてきたから引き上げようとしていた。
その日は覚えていないが少し遠くに行って、俺は帰り道を覚えていなかったのよ。
他の奴らもそんな感じで、「確かこっちの道だったよな~」のように、あやふやに自転車を漕いだ。

でも、なんとか見慣れた風景が見えてきて安心した。
そこで誰かが、ある家の前に自転車を止めて一言いった。
「ここの家いつも通って思うんだけど、今まで1回も雨戸開いてたことなくない?人も見たことねーしさ」
俺はその家の通りが通学路ではないので知らなかったが、そいつと一緒に通ってる奴もうなづいてた。
俺はただの空き家だろと思い、早く帰りたかった。(俺は1回帰りたいと思うと、それしか考えられない)
その2人以外もふーんて感じだったんだけど、その2人が「でも誰もいないのに、新聞配達されてるんだよね」。
一同マジ?って顔になった。

調べてみたら本当にあった。
何枚かかさばっていたけど、誰かが回収しないとあっという間にすごい数になるのは俺でも分かった。
新聞を確かめる為に勢いで敷地内に入ってしまっていて、あせり始めた。
でも冷静にその家を観察してみると、完全に空き家。外から見えない部分はゴミだらけ。
俺も含めてみんな怖さより好奇心が出ていた。

どうにか入れないかと周りを探していると、台所の窓が開いていた。(割れてた)
そこから進入する事になり、人に見つからないように慎重に入った。
最後に俺が入ると、中は締め切っているだけあって暗い。
そして、おかしいくらいに物が積んである。片付けられない女とかそれ以上のレベル。
あと、結構広い事にも気がついた。(普通の一戸建てよりは広いと思った。うちよりは広いw)
胸がドキドキしてたが、怖さではなかった。5人分かれて捜索する事になり、適当に散った。

おれは台所をそのまま調べることにして、色々漁った。
食器やらスプーン、フォーク。色々出てくる。
物はあってもほんとに廃墟で、引き出しを開けた途端、中の物の重さに耐えられなかったのか崩れた。
木が腐っていたみたいだった。
おれはそこを離れて誰かと合流しようと思い、台所を出た。

1階の渡り廊下、ちょうど雨戸が見えていた所を歩いていると、壁に何かが貼ってあった。カレンダーだった。
ボロボロで暗くて見えにくかったけど、不気味な犬の写真と年数は読み取れた。
『1974年』
約20年暗い前のものだった。
これは俺のツボにヒットしたみたいで、かなり怖かった。

そのまま先に進み、1人が和室らしき所を漁っていた。
やはり尋常じゃない物の数。今思い出してみても、何があったか思い出せない。
暗かったのや、ホコリをかぶっていたのもあり、ただ天井近くにまで積みあがった物。
整理をしたとしても、かなりの面積をとってしまう程の。
その和室でそいつは、貯金箱らしきものを見つけたみたいで喜んでた。
「内緒であとでおごる」とか、そんな事言ってたな。

2階もひどい物の数で、入るのに苦労してたみたいだった。
2人で上に上がってみると、すごい光景が広がっていた。
1階では砂の城?みたいに積みあがっていた物が、そこでは壁に積みあがっていた。
(壁/\壁←こうだったのがこう→壁\/壁)
俺はひどい嫌悪感を抱いた。なんかそこにいたくなかった。
その部屋の雨戸も閉まっていて、開けられそうなので開けてみると、外はもう陽が微かにみえるくらいで、すぐにも夜になりそうだった。

こんな果てしない物の数の中を探索していたら、どれだけ時間かかるんだよって事になり、揃って1回に降りた。
すると、デタラメに2階に入る為にどけた物が邪魔し、廊下が通れなくなってしまった。
仕方なく、居間を経由して進むことにした。(廊下より物の数が少なかった)

みんなで物をサイドにどけて、進路を作っていた。
「このドアを引ける様になればOKだ」とリーダーが言った。
やっとかと思っていると、「待った」。
リーダーがみんなの動きを止める。
「中から何か音が聞こえる」
みんな驚いて耳をすましてみると、ほんとに聞こえる。
話し声じゃなくて水が流れてるような音。
皆固まってたけど、そこをどけないと外に出れない。
(廊下方面にそこの物をどかしていった為、廊下から行くのはキツイ)
みんなふっ切れて、ドアを蹴破ることになった。
下は物が詰まっていて、ドアの上だけはがれた。そこの居間も、パターン通り/\積みあがっていた。
見渡しても人がいるわけなく、なんの音なのか調べると、/\の向こうにテレビがあった。
木?で包まれた昔っぽいボーっとした光。
俺はここで、時間が止まったような感覚になった。
画面には砂嵐が映っていた。
不可解すぎる状況を理解すると、物凄く怖くなってきた。

なんか背後に気配を感じるような気がして、テレビは放置して逃げようとした。
みんながテレビから目を離すと、「ドーン!」ビクッッッッ
テレビからピアノを思いきし叩いた音がした。
わぁぁぁぁあsdfghgって感じだった。
反射的にテレビを見てしまい、画面を見ると何故か竹やぶが映っていた。わけわかめですよ。
みんな止まってシーンとなってると、そのテレビの脚立?みたいなのが折れて倒れた。
これにスイッチが入った様に一斉にダッシュ。

台所に着くと、入ってきた窓が埋もれてる・・・。
あああああ、オレダ・・・。戸棚をさっき崩したのを忘れてた。
他のみんなは、これで更にガクガクブルブルになった。

とにかく出口を探して、トイレのドアを破った。便座の後ろの下部分から出れそうだった。
激しく汚かったけど、ためらいなくほふく前進で突き進んだ。
俺はこのとき、ガラスでふくらはぎをスパッっと見事に切ってしまった。
それでも急いでその敷地から出て、一目散に退散。
家につく頃には流血がやばくて、救急車で運ばれたw

この話は他の人にしたことは無い。
たまたま親父が、「そこの家が取り壊されたみたいだ」という事を聞いて思い出した。
当時の足の傷は今もはっきり残っている。

この前、あの時のメンバーで集まってその話題をしていると、おかしな食い違いがあった。
「あの時は4人ともビビッてたよな~w」
「だな、もうあれはパスw」
ん・・・?4人?確かにそこには、俺を合わせても4人しかいない。他の奴も頷いている。
俺は、「もう1人だれだったっけ?」
「何が?」
「空き家探検したメンバー」
「ここに揃ってるじゃん」

俺は何回思い出しても、5人で行った記憶しかない。
しかし、結局5人目がだれだかは、いくら思い出しても思い出せなかった。

【出典:死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?61】


廃墟ディスカバリー
廃墟ディスカバリー [単行本]