510:本当にあった怖い名無し:04/12/1317:50:01ID:9OgIbUqO
オレが小学校の頃の話。

オレの通う小学校は坂の上にあった。
で、皆その坂を上って登校するんだけど、その途中に大きな木があったのね。
ロープが張られて、「立ち入り禁止!木登り禁止!」って札が立ててある。
ほとんど足をかけれるような場所もなく、誰もそんなファンキーな事しねーよ、と思ってた。

三年生くらいの頃かな、下校中ふとした瞬間に木を見上げると、上の方に子供がいる。
いや、人が居るというより、子供の人影がある。
木のてっぺん近く、少し太めの枝に座ってるような影。
オレは見間違いだと思って、気にしなかったんだ。

でも、次の日の下校中も、やっぱりその影はあった。
気のせいじゃないと思ったオレは、一緒に下校してた友達に聞いてみた。
オレ「あの木の上に、子供みたいな人影が見えない?」

友達の答えは、
「何も居ないよ。気のせいだって」

訝しく思いながらも帰宅。
親に言っても信じてもらえないだろうし、言わなかった。

そしたら、一緒に下校してた友達のAから電話が。
A「今日、木の上の話してたじゃん?あの時言えなかったけど、オレにも見えたんだ……」

でも、いくら話しあったって、真相が分かるはずもない。


511:510:04/12/1317:52:24ID:9OgIbUqO
次の日の夕方、下校する生徒も居なくなった頃、Aと二人でその木の近くまで行ってみた。
周りは薄暗かったけど、木の上の子供の影は濃く、はっきりと形が見えてた。
で、その影は、こちらに向かって手を振った。
何故かは分からないけど、一瞬で背筋が凍ってヤバイと思った。
隣を見ると、Aは影に向かって手を振っている!
オレ「バカ!帰るぞ!!」

半ば引きずるようにしてAの家まで行き、オレも帰宅。

次の日、学校へ行くとAが来ていない。
休みという事だったけど、滅多に休まないあのAが?

下校中、見てはいけない気がしながらも、木の上へ目をやった。
人影はなかった。

帰りにAの家へ寄ってみたけど、
「熱が出てて会えない」
と、Aのお母さんに言われた。

三週間ほどAの休みは続いた。
その間に4、5回はAの家を訪ねた気がするが
Aのお母さんはいつも
「熱が出てて寝てるのよ。ごめんね」
しか言わず、オレも何も聞けなかった。

あの影が手を振った日から、一ヵ月ほど経った頃、Aの転校を知らされた。
皆に挨拶もなく、急に転校するなんておかしい、と思ったのを覚えてる。
誰も理由を知らないし、教師達も教えてくれなかった。


512:510:04/12/1317:54:22ID:9OgIbUqO
それから10年近く経った今、Aとは全く音沙汰無し。
最近になって、昔あそこで木登りをしていて、落下して亡くなった子供がいた、と聞いた。
木を切ろうにも、工事中の事故が多かったり、工事の器具が動かなかったりで、全然進まなかったそうだ。
それが本当かどうかも分からないし、Aがどうなったのかも分からない。
Aのその後と、繋がりがあるのかどうかさえ。

子供の影は、存在に気付いてほしかったんだろうか?
あの時、オレがもし手を振っていたらどうなってたんだろう……
そう思う事が今でもたまにある。


【出典:死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?89】


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