会社から帰宅してきてポストを開けると、紙切れが一枚入っていた。そこには殴り書きの汚い字で何か書かれていた 文字はかすれていたが、何とか判読する事が出来た。 

「カ ブ ト ム シ」……?
 
意味がさっぱりわからなかったが、近所の子供の悪戯だろうと対して気にも止めなかった。 


まだ妻は帰ってきていないようだ。さっそくシャワーを浴びて缶ビールを開けて至福の一時……のはずが、…ぬるい! 

どうやら、とうとうボロ冷蔵庫め!ブッ壊れやがったか。 常温のビールなど飲めたもんじゃない! 

私はブツブツ独り言を吐きながらも、しかたがないので今からコンビニに行くかどうか迷った。せっかくの至福の一時も冷えたビールがないのではがっかりだ。急いで寝室に戻って服を着始める。しかし、風呂あがりで出かけるのも面倒臭い。 

時計を見ると午後10時。 

妻は、残業で帰りが遅くなる旨のメールが夕方あったが、もしかするとそろそろ帰ってくるかもしれない! 
…そんな淡い期待を込めて、妻のケータイにかけてみた。 

聞き慣れた着メロが、キッチンの方から聞こえた。









<解説>
彼はかすれた文字を「カブトムシ」と呼んでしまいましたが、実は本当の意味は表裏逆に読まないと分かりませんでした。
本来の意味は「ツマイレタ」。
つまり彼の奥さんは既に冷蔵庫の中に入れられており、缶ビールが冷えていなかったのは妻を入れるスペースのために外に出されていたから。